決明子(けつめいし)とは
決明子は、エビスグサの種子の生薬名です。
エビスグサ(胡草、恵比須草、夷草)は、熱帯地方に広く分布しているマメ科の植物です。
漢方では、唐(西暦600年代)以降よく用いられるようになり、その名称は「眼をすっきりさせる種子」という意味で、石決明(アワビの貝殻)とともに、視力を回復させる薬として用いられてきました。
現在、ハブ茶として流通していることが多いですが、ハブ茶は本来、ハブソウの種子が使用され、決明子はその代用です。
決明子の効果
決明子は有効成分として、クリソファノール、フィスチオン、オブツシフォリンエモジンなどのアントラキノン誘導体を含んでいます。
アントラキノン誘導体は、緩下(かんげ)作用があり、下剤にも利用されているものです。
緩下作用とは、強い下剤のように腹痛を伴う下痢を誘発するのではなく、一時的に便を緩くし自然と排便できる状態にする作用です。
便秘を解消すれば、便とともに水分も排出されるので、肝臓の負担を軽くします。
肝臓の疲労はまず目に出ると言われており、肝臓を元気にする決明子は、目の疲れや充血をとり、白内障、カスミ目、老限に効果があります。
その他にも、高血圧、慢性胃腸病、消化不良、胃拡張、胃下垂、胃酸過多、胃アトニー、口内炎、黄疸、じんましん、腎臓病、腎盂炎、脚気、糖尿病、膀胱カタル、婦人病、神経痛、眼病など、決明子の薬効は非常に広範囲であることが知られています。